カーテンレールで太陽までの距離を測る
サモスのアリスタルコス(紀元前310年頃〜前230年頃)は古代ギリシャの天文学者・数学者で、宇宙の中心にあるのは地球ではなく太陽だと唱えた、知られている限り最初の人物である。彼はまた、太陽が月に比べて私たちからどれだけ遠いかを測ろうとした。
空に浮かぶ直角
彼の幾何学的なひらめきはこうだ。上弦または下弦、つまり月のちょうど半分が照らされているとき、太陽・月・地球は月のところで直角になる三角形をつくる。地球から見た太陽と月のあいだの角度δを測れば、2つの距離の比が求まる。λ = sec(δ)、すなわち 1 / cos δ である。
アリスタルコスはδ ≈ 87°、したがってλ ≈ 19という値を得た。太陽は月のおよそ19倍遠いことになる。彼がどうやって87°を得たのかは謎のままだ。月の満ち欠けの周期の2つの半分のあいだに1日の差があると見積もった、という仮説もある。
本当の値はおよそ400で、これは**δ ≈ 89° 51′**という角度に相当する。
**落とし穴:**90°の近くでは、角度のごくわずかな誤差が結果を大きく変える。87°なら19、89°なら約57、89° 51′なら約400になる。しかも角度は1時間に約30分角ずつ動くので、半月の時刻を2分間違えるだけで、すでに約1分角の誤差になる。
測定器
チリ・サンティアゴのアドルフォ・イバニェス大学とマドリード・コンプルテンセ大学のウーゴ・カエロルスらは、誰でもまねできる装置をつくった。
- 長さ1.5 m、太さ1.1 cmのカーテンレール(「店で見つけたそのまま」)をカメラ用三脚に取り付ける。
- 棒をのぞき込んで月に向け、太陽がその影を地面に落とす。
- 巻き尺で3つの長さを測る。棒の両端からそれぞれ影の対応する端までの距離と、影の長さだ。あとは余弦定理からδが求まる。
巧みなのは、太陽と月を同時に狙う必要がなく、角度を直接測る必要もない点だ。角度を1分角以内の精度で直接測るのは非常に難しい。影は速く動き、30秒ほどではっきりわかるほどずれるので、チームは影の端を小さな木製のコーヒーマドラーで印をつけた。
1000回の測定をコンピューターでシミュレーションしたところ、見込める精度が示された。測定誤差1 mmで角度の誤差は約5′、5 mmで約27′。誤差は月が高いときや、2 mの棒を使うときに小さくなる。
本番の測定
2024年10月10日、サンティアゴのサン・クリストバルの丘にあるフォスター天文台で、下弦の時刻は13時57分だった。地平線の雲のせいで予定がすべて遅れ、使える最初の測定は15時以降になった。
チームは15時から16時30分のあいだに17回の測定を行った。天文ソフトStellariumによる正確な値と比べると、個々の誤差は−32′から+16′の範囲だった。直線で当てはめて下弦の時刻までさかのぼると、δ = 89° 25′ ± 12′、したがってλ ≈ 97が得られた。
これはまだ本当の値の約4分の1にすぎず、90°付近でこの方法がいかに敏感かを思い知らされる。それでも、ホームセンターの道具でアリスタルコスより5倍正確なのだ。
レーザーポインターとデジタル分度器を使って太陽と月を同時に狙う最初の装置は、位置合わせの誤差が多すぎて断念された。
精度を制限するもの
- **最大の要因:**半月の正確な時刻を知ること。目で見ると、月の明暗の境界線は1時間のあいだほとんど変わらないが、角度は0.5度も動く。
- 昼間の明るさの中で、半分だけ照らされた月を棒の中心にとらえること。
- 太陽が低くなったときに影の端を見つけること。
- 巻き尺の読み取り。
教室での実験、そしてみんなでの実験
著者らは多くの場所での同時測定を提案している。精度30′の独立した測定が225回あれば、平均の不確かさは2′まで下がる。1回あたり10′の精度なら、25回で足りる。彼らは2027年のマドリードとサンティアゴでの好条件の日付を一覧にしており、月の写真を使って半月の時刻を正確に決める方法も開発中だ。
この活動は、中学・高校レベル(装置の製作、幾何学、三角法)から大学レベル(天体暦、誤差の伝播、回帰分析、プログラミング)まで広げられる。シミュレーションのコードは公開されている。
